社員の行動力を引き出すには?教育担当者がやるべき5つの施策を紹介
社員に「もっと自発的に動いてほしい」「指示待ちではなく、自ら考えて行動してほしい」――
そんな課題を感じている企業の人事担当者や教育担当者は少なくありません。変化が激しく、スピードが求められる現代において、“行動力”は企業成長を左右する重要な力です。
本記事では、社員の行動力が企業にもたらす影響を解説するとともに、行動力を引き出すために人事・教育担当者が取るべき5つの具体策をご紹介。さらに、実際に行動力向上に成功した企業事例や、行動を習慣化するための継続的な仕組みづくりまで、実践的な視点でまとめています。
社員が自ら動く組織を目指すために、ぜひ参考にしてください。
1: なぜ“行動力”が社員教育で重要なのか?

変化の激しい現代ビジネスにおいて、スピード感を持って課題に取り組む「行動力」は、企業の競争力に直結する要素です。
どれだけ知識やスキルを備えていても、それを実行に移せる人材がいなければ、組織の成長は望めません。
人事や教育担当者が社員教育を設計するうえで、「行動力の育成」を意識することは、単なるスキル習得を超えた戦略的投資といえるでしょう。
本章では、なぜ今“行動力”が重要視されるのかを、3つの視点から解説します。
1-1: 行動力が企業成長に与える影響とは
行動力のある社員は、指示を待たずに自ら課題を見つけ、スピーディに解決へと動き出します。こうした姿勢は、以下のような好循環を生みます。
- 業務改善のスピードが速くなる
- 顧客満足度の向上につながる
- チーム全体の士気や成果が高まる
たとえば、ある社員が顧客のニーズを察知し、即座に社内で提案・調整を行った結果、競合に先んじて受注を獲得したという事例もあります。
つまり、行動力は企業全体のスピードと柔軟性を高め、結果的に業績や組織力に直結するのです。
1-2: 行動力が高い社員の特徴と成果
行動力が高い社員には、以下のような特徴があります。
- 主体性がある:自ら判断し、行動する意志を持っている
- チャレンジ精神が強い:失敗を恐れず、新しいことに取り組む
- 改善意識が高い:現状に満足せず、常により良い方法を模索する
こうした社員は、目標達成に向けて着実にアクションを重ね、周囲を巻き込みながら組織に好影響を与えます。特にマネジメント候補としても将来性が高く、企業にとって貴重な存在です。
人事・教育担当としては、こうした特性を持つ人材を早期に見極め、適切な教育機会を与えることが求められます。
1-3: 行動力が欠如することによるリスク
一方で、行動力が不足している社員が多い組織には、以下のようなリスクが潜んでいます。
- 指示待ちの風土が定着する
- 問題解決が遅れ、機会損失が増える
- チャレンジを避ける傾向が強まり、変化に弱くなる
たとえば、顧客からのクレームに対して、誰も責任を持って対応せず、機会損失だけでなく信頼喪失につながるケースもあります。
これは個人だけでなく組織全体のパフォーマンスに大きく影響します。だからこそ、社員一人ひとりの行動力を引き出す仕組みや教育施策が不可欠なのです。
2: 行動力を引き出すには?人事・教育担当ができる5つの施策

社員の「行動力」は生まれ持った資質ではなく、環境と育成の工夫によって引き出すことが可能です。
特に人事や教育担当者は、社員が“自ら動く”ためのきっかけや仕掛けを戦略的に設計する役割を担っています。
ここでは、社員の行動力を高めるために有効な5つの施策をご紹介します。
2-1: 心理的安全性のある環境を整える
行動力を育むうえで欠かせないのが「心理的安全性」です。
これは、社員が自分の意見やアイデアを安心して発言できる状態を指します。
失敗や批判を恐れて発言や挑戦を控えてしまう職場では、行動力は生まれません。
人事・教育担当者としては以下のような施策が有効です。
- 上司・部下間の双方向コミュニケーションの推進
- 意見やアイデアを歓迎するカルチャーの浸透
- チーム内での対話型ワークショップや1on1の強化
「挑戦しても大丈夫」という土壌があってこそ、社員は自発的に動き出すことができるのです。
2-2: 小さな成功体験を積ませる仕組みをつくる
いきなり大きな成果を求められると、行動する前に尻込みしてしまう社員も少なくありません。
そこで有効なのが「小さな成功体験」の積み重ねです。
たとえば、
- 1日1改善を推奨する取り組み
- プチプロジェクトへの任命
- アイデア提案に対する即時のフィードバックや称賛
といった工夫を通じて、社員は「動けば何かが変わる」という感覚を身につけます。
このポジティブな実感が、さらなる行動力の原動力となります。
2-3: 自ら考え動くマインドセットを育てる研修の導入
行動力は「やる気」だけでなく、「考える力」とセットで育成する必要があります。
そのためには、知識伝達型の研修だけでなく、「自ら考えて動く」思考習慣を育てる研修が有効です。
具体的には以下のような内容が効果的です。
- 問題解決型ワークショップ(例:ケーススタディ)
- 振り返りを重視したアクションラーニング
- 仮説思考やゼロベース思考を取り入れた演習
教育担当者としては、座学だけで終わらず「行動のトレーニング」につながるプログラム設計が求められます。
2-4: 評価制度に「行動」を組み込む
行動力を文化として根付かせるには、「評価の基準」に行動要素を含めることが欠かせません。
結果だけでなく、その過程でどのような行動をとったかを見える化・評価することで、行動を奨励する風土が醸成されます。
たとえば以下のような評価軸が挙げられます。
- 改善提案の回数や質
- 自発的なプロジェクト参画の有無
- チーム内へのポジティブな影響力
行動が正しく評価されることで、社員は「動いたほうが得だ」と感じ、より主体的に動くようになります。
2-5: ロールモデルの提示とフィードバックの徹底
人は「自分にもできそうだ」と思える身近なモデルがいることで、行動へのハードルが一気に下がります。
そのため、行動力のある社員を社内で見える形にすることが効果的です。
- 朝礼や社内報での成功事例共有
- 行動力を発揮した社員への表彰・インタビュー
- OJTでのロールモデルとの同行機会の創出
また、行動した社員には即時にフィードバックを行い、「その行動が価値あるものだった」と明確に伝えることが重要です。
**ポジティブなフィードバック(正の強化)**を繰り返すことで、社員の中に“動くことが当たり前”という意識が定着していきます。
3: 行動力向上の成功事例から学ぶ教育の工夫

社員の行動力を引き出すためには、環境づくりやマインドセットの醸成が重要であると前章で解説しました。
ここでは実際に行動力向上に成功した企業の取り組み事例を紹介し、どのような教育施策や制度が功を奏したのかを具体的に見ていきます。
3-1: 自走型人材を育成した企業の取り組み事例
あるIT企業では、「指示待ち型」の社員が多く、自律的な行動がなかなか見られないことが課題でした。
そこで、社内の制度を抜本的に見直し、「自走型人材」の育成にフォーカスした教育施策を導入しました。
具体的には以下の取り組みを実施しています。
- 月1回の社内プレゼン制度(自分の提案を全社員の前で発表)
- 新規事業提案にインセンティブを付ける仕組み
- チーム単位での目標設定と自己評価の導入
これにより、社員は「与えられた業務」ではなく「自分から作り出す仕事」への意識が高まり、積極的に行動する文化が定着しました。
特に若手社員の意欲が顕著に向上し、離職率の低下にもつながっています。
3-2: 行動力を引き出した研修・OJTの工夫
製造業のある企業では、新入社員の行動力にバラつきがあり、「知識はあるが動けない」状態が多く見られました。
そこで同社は、研修の構成を大きく見直し、座学中心の内容から「実践重視型」に変更しました。
- 社内業務を模した実地ロールプレイングの導入
- 他部署と連携する課題解決型ワーク(クロスファンクショナル研修)
- OJTでの“教えない指導”方式(自ら質問させる)を実施
このアプローチにより、新入社員は“自ら考えて動く”体験を積み、現場配属後もスムーズに行動を起こせるようになりました。
OJT指導者も評価対象となるため、指導側の質も高まり、組織全体の育成力が底上げされました。
3-3: 評価制度を変えて成果が出た企業の事例
行動力を育てるには「評価制度との連動」も不可欠です。
ある中堅の人材サービス企業では、結果重視の評価制度が“安全な行動”ばかりを促進してしまい、社員の挑戦が減っていることに課題を感じていました。
そこで、同社は以下のように評価制度を刷新しました。
- プロセス評価の導入:「何をやったか」だけでなく「どうやったか」も評価
- チャレンジ項目の加点評価:「行動したこと自体」に価値をつける
- 月次での自己行動振り返りシートの提出義務化
これにより、社員の間に「失敗を恐れず動くことが評価される」という認識が生まれ、業務改善や新しい提案が活性化。
部門ごとのKPIも向上し、企業全体の行動量が目に見えて変化しました。
成功企業の事例から分かる通り、社員の行動力を引き出すには、単に「やる気」を求めるのではなく、制度や研修、文化の設計まで含めた仕組みづくりが必要です。
4: 社員の行動力を継続的に引き出すために大切な視点

社員の行動力は、一時的に引き出すだけでは不十分です。
研修や制度の導入だけで終わらせるのではなく、組織全体で“継続的に”行動力を高めていくための仕組みと文化が必要です。
この章では、行動力を組織に根付かせるために押さえておくべき3つの視点を解説します。
4-1: 行動力は「一過性」ではなく「習慣化」がカギ
研修や施策によって一時的に社員のモチベーションや行動力が高まっても、それを継続できなければ効果は限定的です。
重要なのは、行動することを「習慣化」することです。
習慣化のためには、以下のような取り組みが有効です。
- 毎週の1on1で“行動したこと”を確認・称賛する
- 行動計画と振り返りをセットにした仕組みを導入する
- 社内SNSなどで日々の小さな行動を見える化・共有する
「行動することが当たり前」という状態を目指すには、繰り返しのサイクルとポジティブな強化が必要です。
行動力の定着には時間がかかるため、短期的な成果だけに目を奪われず、地道なフォローを継続する視点が欠かせません。
4-2: 教育・人事部門と現場の連携が成果を左右する
行動力を高める施策は、人事や教育部門だけで完結させては効果が薄くなります。
実際に社員が日々行動を起こすのは“現場”であるため、現場上司やチームの理解と協力が不可欠です。
連携を深めるための具体策としては、以下が挙げられます。
- 教育施策の意図を現場マネージャーにも共有し、納得感を持ってもらう
- 現場からのフィードバックを教育設計に反映させる
- OJTや業務指導においても「行動力」に着目して評価・指導する
現場と教育部門が一体となり、「動くことに価値がある」という共通認識を持つことで、社員の行動力はより安定的に育ちます。
4-3: 行動力を引き出すカルチャーづくりの重要性
最終的に行動力を組織全体に根付かせるには、「行動を歓迎するカルチャー」の醸成が不可欠です。
どれほど制度や研修が整っていても、社内の空気が保守的であれば、社員は動けません。
行動力を育むカルチャーとは、具体的に次のような特徴を持っています。
- チャレンジに対して寛容である(失敗を咎めない)
- 上司も率先して動く(背中で見せる)
- 成果だけでなくプロセスにも光を当てる
こうした価値観を言葉で伝えるだけでなく、表彰制度やナレッジ共有、社内イベントなどを通じて日常的に体現することが求められます。
社員が「動くことに意味がある」と確信できる組織こそが、長期的に行動力を維持・向上させられるのです。
5: まとめ|行動力ある社員を育てるのは教育の力

社員一人ひとりの行動力は、企業の競争力を高め、変化の時代を乗り越える原動力となります。
そして、その行動力を引き出し、育てる役割を担っているのが、まさに人事・教育担当者の皆様です。
本記事では、行動力が企業に与える影響や、行動力を高めるための具体的な施策、成功事例、そして継続的に行動力を引き出すための視点について解説してきました。
社員の行動力を高めるために重要なのは、以下の3点です。
- 環境を整えること:心理的安全性や評価制度、成功体験を通じて行動しやすい土壌を作る
- 教育を工夫すること:マインドセットを育む研修、OJT、現場との連携を通じて“考えて動く”力を養う
- 文化として根付かせること:挑戦を歓迎し、行動が評価される組織文化を形成する
行動力は、一部の社員だけが持つ特別なスキルではありません。適切なアプローチをすれば、すべての社員から引き出せる「組織の力」そのものです。
企業の未来を支えるのは、“動ける人材”です。
その基盤づくりを担う教育の力を、今こそ強化していきましょう。
社員の“行動力”を引き出すには、一度きりの研修や施策だけでは不十分です。
継続的に知識を定着させ、自信を持って行動に移せる状態をつくるためには、日々の反復学習と効果の見える化が欠かせません。
そうした課題を解決するのが、**「kokoroe」**です。
1日たった5分のマイクロテストを通じて、社員が学んだ知識を“行動につながる力”として定着させることができます。企業ごとのナレッジに応じた問題を自動生成できるため、理念や商材知識といった独自の教育内容にも対応可能です。
また、継続的な受講結果から、知識の習得度や学習姿勢を可視化し、評価やフィードバックにも活用可能。行動力ある社員を育てるための仕組みとして、多くの企業で導入が進んでいます。
行動できる社員を増やしたい――
そうお考えの人事・教育担当者の方は、ぜひ一度「kokoroe」をご活用ください。
